2005年10月 7日

【のまネコ】商標権とられたって,びびることなかったのです。実は。

のまネコの文字の商標は「取引先のために」残すと社長さんは言ってましたね。
でも誰かが電話したところでは「社長の見解と会社の見解は別」との回答だとか。
えーかげんにせんかい。
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有限会社ゼンは,今月3日に,酒瓶を持ったネコの図形商標の出願を取り下げたとのことです。http://www.e-zen.info/
特許庁のサイトを確認してみましたが,まだ反映されていませんでした。ほんまに取り下げたんかいな。
http://www1.ipdl.ncipi.go.jp/syutsugan/TM_DETAIL_A.cgi?0&1&0&1&1&1128506605
ちなみに,「のまネコ」の文字商標の方は取り下げないのかな。
http://www1.ipdl.ncipi.go.jp/syutsugan/TM_DETAIL_A.cgi?0&1&0&1&1&1128506562

まあ,商標権をとられない限り,有限会社ゼンに認められる権利って,きわめて曖昧なものでしかないので(9月26日日記参照),取下げが確認され次第,法的な観点からはこの問題は矛を収めるべきでしょう(もちろん,エイベックスの企業としての当不当の問題はあり,禍根を残すことは否めません)。

もっとも,商標権をとられたとしても,そんなにナーバスにならんでええというのが,私見です(と先日書きました)。つまり,従来のアスキーアートの使用はもちろん,モナーやモララーを模って,ぬいぐるみ等グッズを作り,万が一有限会社ゼン(もしくはエイベックス)に訴えられたとしても,勝訴できる可能性が高いというわけです。

上記出願中の商標のうち,問題となるのは取り下げたと言われる前者です。「米酒」という名の,酒瓶を持っているネコの図形商標です(後者は「のまネコ」という文字だけなので,そもそも問題になりえません)。以下,これを「米酒ネコ」と呼びます。
登録されている商標と同一または類似する商標が用いられたとき,商標権の侵害になります。「同一」は分かりやすいとして,「類似」の判断基準となるのは,(1)外観,(2)称呼,(3)観念の3つです。つまり,(1)ビジュアルが似ているか,(2)音が似ているか,(3)連想されるものが似ているか,の3点です。

従来のアスキーアート,及びモナー等を模ったグッズは,「米酒ネコ」と「同一」ではありません。「類似」といえるかが問題になりますが,ならないというのが私見です。以下,(1)外観,(3)観念について検討します((2)称呼は関係ありません)。
「米酒ネコ」が商標登録されるにたりうるのは,言い換えると,ありふれたものとは言えず,商標権で保護するに足るだけのオリジナリティーを備えていると言えるのは,「ネコが酒瓶を持っている」という組み合わせによります。
ネコだけでは,きわめてありふれており,商標登録が認められるかどうか疑問です。酒瓶と組み合わさっているところに,特徴が基礎付けられているのです。

とすれば,(1)外観の判断においても,酒瓶の有無がポイントになります。たとえばモナー等でグッズを作っても,何かしら瓶状のものを持っていれば別途考慮が必要ですが,そうでもない限り,「米酒ネコ」の特徴を基礎付けているポイントを押さえているはいないため,(1)外観において類似しているとはいえないでしょう。そうでなければ,およそネコの絵が,商標権侵害となってしまいます。
(3)観念においても同じです。「米酒ネコ」は,単なるネコにとどまらず,ネコが酒を飲もうとしている,または酒をすすめていることが,連想されるものです。モナー等のグッズを作っただけでは,これらが連想されませんので,(3)観念において類似しているとはいえません。
というわけで,商標出願取下げにより,事実上問題は解決しそうですが,たとえこれが認められていたとしても,そんなに問題ではなかったというわけです。

うーん,この文章を,エイベックスによる取下げ発表前に載せておくべきやったよなあ。28日の日記で,商標権侵害にならないことの予告をしましたが,もったいぶらずにさっさと書いておくべきでした。

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