2005年9月25日

【のまネコ】何を作って何を売ろうが,原則自由なのです

世界に羽ばたく(っていうか世界を歩き回っている)弁護士、とてちてた氏がミクシィに掲載しているのまネコの解説です。転載許可をもらったので随時アップします。

*****ここから(9月21日掲載)

原則論から議論を組み立てたいと思います。
まず,どんなキャラでどんな商品を作って売り出そうが,自由社会である以上,これは原則として自由です。我が家の近所に,アンパンマンやドラえもんを模った菓子パンを売っているパン屋がありますが,原則自由であるからこそ,堂々と売っています。
ただ,無制限に許されるわけではなく,他人の権利を侵害する場合,その行為は例外的に制限されます。
他人の権利を侵害する場合・・・たとえば,このたび問題とされているように,著作権を侵害するような場合です。

著作権とは,創作的表現物を創作した者に与えられる,複製権など一定の種類の独占的権利の総称です。つまり,文芸でも音楽でも美術でも,何かしら作品を創り出した者は,それのコピーを作る権利を独占でき,他人がコピーを作ることを阻止できるという権利が認められるのです。
そして,著作権は特別な手続は必要とせず,創り出すことで権利が発生します。たとえば,今私はこの文章を書いていますが,この瞬間,この文章に対する私の著作権が発生しており,著作権者である私の許可なくして,これをコピーして使うことはできなくなります。

したがって,エイベックスがどんな商品を作って売り出そうが,他人の権利を侵害しない限り,これは原則自由です。
では,他人の権利を侵害したとして,例外的に制限されることにならないのでしょうか。
一連のアスキーアートについては,誰が創り出したかがはっきりしません(ということにしておきます)。よって,著作権者が誰であるのかがよく分からないのです。したがって,「他人の権利を侵害」したと言い難く,原則どおりエイベックスの行為は認められるものとなります(対して,我が家の近所のパン屋さんは,例外的に制限されうる場合になります)。

エイベックスが「(著作権など)何かをもっているか否か」というところから議論がスタートさせるべきではなく,エイベックスの行為は原則自由であり,これを例外的に阻止できる何らかの権利を誰かが持っていないか,何らかの根拠がないかという思考の順序で議論するべきだろうと考えます。

じゃあ他人の権利を侵害しなければ何してもいいのかというと,やっぱり美しくないことはいやです。私が「さくらさくら」の作曲者だと言い始めても,誰の権利も侵害しませんが,やっぱり美しくありません。なんとかならないもんでしょうか。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://komacha.egoism.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/935

コメントする